『古事記』と『日本書紀』 黄泉の国訪問

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黄泉の国

亡くなったイザナミを忘れられないイザナギは、 死者の世界である黄泉の国へ向かうことにします。 当時はまだ現世と黄泉の境目があいまいで、 行き来することが可能でした。 光がなく、暗闇に包まれている黄泉の国についたイザナギは、 イザナミと再会します。 イザナギは「愛する妻よ。まだ国造りは終わっていない。一緒に帰ろう!」 そう言いましたが、イザナミは「もう少し早く来てくだされば良かったのに。 私は黄泉の国の食べ物を食べてしまい、もうこの世界の住民です。 帰ることは出来ません。」 「そんな、、、」 イザナギはますます悲しみます。 するとイザナミ、「でも、あなた様が迎えに来てくださったのですから、黄泉の神々と相談してきます。 その間は、絶対に私を見ないで下さいね。そう、絶対に!」 そう言ってイザナミは相談に向かいます。 しかしイザナギは待ちきれず、黄泉の国で火を付けてしまいます。 そこで目にしたのは、体は腐ってしまい、変わり果てたイザナミの姿でした。

黄泉比良坂よもつひらさか

イザナギは愛する妻の醜い姿に驚き、逃げ出してしまいます。 イザナミは「よくも私に恥をかかせたな!」と黄泉の国のバケモノ達に後を追わせました。 イザナギは必死で逃げますが、バケモノが追いつきそうになったので髪を結んでいた糸とクシを 投げました。すると糸が蔓になってブドウの実がなり、クシはタケノコになり、バケモノたちは これらに気を取られます。しかし今度はその後ろからは黄泉の国の悪霊が追ってきました。 イザナギは必死で逃げ、ようやく黄泉の国の入口である黄泉比良坂よもつひらさかまでたどり着くと、 そこに生えていた桃を悪霊に投げつけました。悪霊はなぜか勢いを失い、戻っていきました。桃は悪霊を退散させる効果があるようです。 これで安心だと思うと、最後にイザナミ本人が追ってきました。 イザナギは慌てて、黄泉の国の入口を大岩でふさぎます。 こうして、現世と黄泉の国が完全に別けられ、イザナギとイザナミは決別することになってしまいました。

天照の誕生

黄泉の国から帰ったイザナギは、「自分はなんてけがれた世界にいたのだろう。みそぎをしなければ」と 、清らかな水でみそぎの儀式を行いました。 衣服を脱いだとき、水に浸かった時にもまた、多くの神が生まれました。 そして最後にイザナギが顔を洗うと、 左目からは世界を照らす天照大御神アマテラスオオミカミが、 右目からは月の神である月読命ツクヨミノミコトが、 そして鼻からは嵐の神である建速須佐之男命タケハヤスサノオノミコトがそれぞれ誕生し、 特に尊い3柱の神様がこの世界に現れました。 この3柱の神の誕生に、イザナギは大いに喜びました。

~神話紀行~

黄泉比良坂よもつひらさか

黄泉の国への入口で、イザナギとイザナミが決別した場所と伝わる 場所です。現在の島根県安来市にあります。詳しくは こちら からどうぞ!

みそぎ池

宮崎市にある、イザナギが黄泉の国から帰ってきた後にみそぎの儀式を行ったとされる 池です。現在では公園として整備されています。 詳しくは こちら からどうぞ!

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